最上川舟運で栄えた長井市中心部の街並みに溶け込み、酒造りを担う酒蔵。長沼家は江戸時代から12代続き、9代目までは呉服店や養蚕業を営んでいました。10代目が、近辺に酒造会社がなかったことから酒造業を開始。1916年から、長く愛される酒造りを始めました。 レトロな雰囲気が漂う酒蔵では昔ながらの製造機が現役として稼働しています。米を蒸す「甑(こしき)」、「槽(ふね)」と呼ばれる圧搾機はその代表格です。甑は、せいろの容量で水蒸気を使って米を蒸しあげます。 自動圧搾機を使わず、旧来の手法を守り続けるのが蔵の魅力。酒蔵や店舗は、歴史的な建造物として認められ、国登録有形文化財に指定されています。  

長沼合名会社|蔵の入口
杜氏|長沼夫妻

仕込人

「飽きずにずっと楽しめる酒(自分たちが飲みたい酒を造る)」

それが二人の想いです。

当主は代々、長沼惣右衛門を襲名します。2007年に酒造りを引き継いだ私たち夫婦は、2010年に新たな「惣邑」シリーズを発表しました。 香りが穏やかなその酒は、さらりと綺麗な酒でありながらも深い旨みを持ちます。食事と合わせることで更に「うまいなぁ」と杯を重ねていただける味、そして単なる食中酒で終わることなく飲む人の心に響く味を目指しています。 幻の米とも言われる「羽州誉」や「出羽燦々」「出羽の里」「酒未来」の酒造好適米を使い、米の浸沈時間や温度管理、搾るタイミングなど細かな調整を重ねて丁寧に造りあげています。

「水が集まるところ」に由来する山形県長井市。最上川・野川・白川が合流している水の豊かな地です。 長井の水は45m以上の深井戸から取水する100%天然地下水。朝日山系の山々により自然ろ過された長井市の水は、上質な口当たりの良い軟水です。 マグネシウム・カルシウムの含有量が120mg以下の「超軟水」。日本の水道の平均硬度は約50mg/ℓ、長井の水は半分以下の20mg/ℓ。吸収がよく、体にも優しい水。その長井の水の良さを生かした酒造りをする為昔ながらの手仕事、手造りにこだわりを持ち、洗米は手洗いを徹底しています。 龍神になった卯の花姫が守る伝説の美味しい水に自信をもって、酒造りをおこなっています。

蔵人|米を研ぐ